top of page

【論文掲載】尺側・正中神経障害を伴う投球肘の内側側副靭帯損傷に対する保存的治療
―Cureus誌に症例報告が掲載―

2025年9月24日

。2025年9月23日、STEPメンバーの 中川宏樹(なかがわひろき)ら による症例報告論文 「Conservative Management of Ulnar Collateral Ligament Injury in a Throwing Elbow Complicated by Ulnar and Median Neuropathy: A Case Report」 が国際オープンアクセス医学誌 Cureus に掲載されました。

本報告は、高校野球投手の内側側副靭帯(UCL)損傷尺骨神経および正中神経障害が併発した稀な症例を、**超音波ガイド下の徒手療法と神経モビライゼーション(neural mobilization)**により保存的に治療し、2か月で競技復帰を果たした経過をまとめたものです。


症例概要

17歳の高校野球投手が、投球中に右肘内側痛と手内在筋の筋力低下を発症。 MRIおよび超音波検査により内側上顆裂離およびUCL損傷、さらに尺骨神経・正中神経の滑走障害を確認。 初期治療では、超音波ガイド下での神経滑走法および筋収縮フィードバック訓練を実施した。


治療経過と結果

  • 第1段階:尺骨神経・正中神経に対し、短軸方向の神経滑走徒手操作と、超音波下バイオフィードバックを併用して筋活動(FCU・FDS)を再教育。

  • 第2段階:投球再開後に症状が再燃したため、超音波ガイド下ハイドロリリース(hydrodissection)を実施。直後から疼痛が軽減し、神経滑走性と筋力が回復。

  • 第4週以降:神経・筋連携訓練を継続し、8週で競技復帰、4か月後も再発なし。


臨床的意義

  • 投球障害肘では、靭帯損傷だけでなく神経機能低下が動的安定性を損なう要因となる。

  • 本症例では、FDS(正中神経支配)とFCU(尺骨神経支配)の機能改善が、肘関節の外反安定性回復に寄与。

  • エコーガイド下で神経・筋の動態を可視化しながら徒手療法を行うことで、より早期で安全な競技復帰が可能であることを示唆。


==================================================

 掲載情報

bottom of page