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【論文掲載】膝前部痛を呈した伏在神経膝蓋下枝絞扼に対する超音波ガイド下徒手療法
―Cureus誌に症例報告論文が掲載―

2025年9月24日

2025年9月23日、STEPメンバーの 宮田徹(相模原協同病院)らによる症例報告論文 「Ultrasound-Guided Manual Therapy for the Infrapatellar Branch of the Saphenous Nerve Entrapment Presenting as Anterior Knee Pain: A Case Report」が国際オープンアクセス医学誌 Cureus に掲載されました。

本症例は、**膝前面痛(anterior knee pain)**を呈した若年男性(体育教師)において、当初「膝蓋腱炎」が疑われたものの、**高解像度超音波(HRUS)**により伏在神経膝蓋下枝(infrapatellar branch of the saphenous nerve, IPBSN)が縫工筋(sartorius)貫通部で絞扼されていたことを確認し、**超音波ガイド下徒手療法(manual therapy)**により疼痛が完全に消失した稀なケースを報告しています。


主な内容と臨床的意義

  • HRUSにより膝蓋腱炎とは異なる神経性疼痛を同定。IPBSNが縫工筋を貫通する「penetration type」の走行を示し、局所圧痛を確認。

  • “Sartorius Lift Test”と呼ばれる徒手的除圧操作で疼痛が軽減し、動的診断サインとして提唱。

  • 超音波ガイド下徒手療法を5分間実施し、即時的に疼痛がNRS 7→0へ改善。

  • 非侵襲的かつ安全性が高く、神経滑走と軟部組織モビライゼーションを組み合わせた新しい保存的治療法として有用性を示した。

本報告は、術後ではなく非手術例に発生した伏在神経膝蓋下枝絞扼をHRUSと徒手介入で治療した初の報告の一つであり、 前膝部痛の鑑別診断や理学療法戦略に新たな視点を提供します。


研究のポイント

  • 従来の前膝部痛(膝蓋腱炎・滑膜ヒダ障害・鵞足炎など)と臨床像が重なる神経絞扼性疼痛に対する注意喚起。

  • HRUSによる神経経路の同定とエコーガイド下徒手操作が、診断・治療の両面で有効。

  • 動的テスト(Sartorius Lift Test)+リアルタイム超音波モニタリングによる評価手法の確立。


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掲載情報

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